序にかえて
勝本町漁業協同組合
組合長理事
香椎二一郎
今回、関係各位のご協力を得まして『勝本町漁業史』が発刊されるはこびとなりましたことは、組合員の皆様方とともにご同慶にたえません。
私たちの郷土であります勝本は、東は玄界灘、西は対馬海峡に囲まれた壱岐島の北端に位置し、大小七百隻の漁船を有し、沿岸漁業の基地として発展しています。今日のこの漁業の隆盛は、数千年という長い歴史の流れの中で、先人達が幾多の苦難と試練をのり越えて、築いてこられたものです。勝本に住み、勝本で漁業を営む私たちが、「温故知新」の先賢の教えにしたがい、漁業発展のあゆみをひもどき、先人の努力の足跡をたずね、これからの進むべき方向を思索することは、まことに意義深いことと信じます。
現代の漁業環境は、国の内外を問わず非常にきびしい情勢にあります。二百海里漁業専管水域という海洋新秩序の時代となり、オイルショックによる燃料油価格の急騰、魚価の低迷など、従来からの漁業を根底から、見なおさなければならない時期であります。しかし水産業は今後も、国民食糧政策の一端を担う重要産業として、一層発展しなければなりません。この社会的使命を達成するため、私たち漁民は、協同組合精神に立脚し、水産物の安定的供給と漁業経営の安定に、専念する意気に燃えております。このような意味におきましても、本書で勝本町漁業進展の経緯を知り、漁業振興の布石としてご愛読していただければと、心から願う次第でございます。
最後になりましたが『勝本町漁業史』発刊にお力添えをいただきました中上史行先生、横山順壱岐郷土館長の御両氏並びに関係各位に、深く感謝の意を表しますとともに、勝本町当局のご後援、ご配慮には厚くお礼を申しあげます。どうぞ今後とも、勝本町漁業協同組合の発展のため、皆様方の一層のご支援とご指導を賜りますようお願いいたします。
【壱岐の象徴・猿岩】
【全国の月讀神社、月讀宮の元宮】